着物の柄にはどんなものがある?主な種類を紹介

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着物の柄にはどんなものがある?主な種類を紹介

着物には、とても多くの柄、着物の模様があります。華やかで美しい中にも格調高さが表現された様々な着物の柄は、装う人だけでなく見る人をも惹きつける大きな魅力です。今回は、素敵な着物の柄の種類とそれぞれの柄に込められた意味や由来について解説をします。

柄の種類

着物の柄には、大きく分けると

  • 自然・風景
  • 動物
  • 古典柄
  • 幾何学文様

以上の4種類になります。自然・風景柄は、季節ごとに装い、四季を楽しむための着物が多く、かつそれぞれに込められた意味もあります。動物や古典柄、幾何学模様には、着用する季節にはこだわりませんが、それぞれに願いや意味が込められています。どのような柄にどのような願いが込められているのでしょうか。具体的な柄を紹介しながら説明しましょう。

 

着物の柄に込められた意味

多くの種類がある着物の柄の中で、主な柄について、由来や意味、込められた願い、着用する時期などを知っておくと、より着物の楽しみが広がります。

 

自然・風景柄

着物には四季折々の自然や風景が描かれたものが多く、季節を彩り、花や自然を愛でるという意味を持っています。ただ季節感を楽しむ着物には、着用時期に少し注意が必要なものもありますので気を付けてください。写実的な柄は、実際の季節よりひと月から半月ほど先取りした着用がおすすめです。抽象的な柄の場合は、季節を問わずに着ることができます。

 

松竹梅・・・松竹梅が描かれた模様は、縁起の良い吉祥柄の代表です。松は寒さ厳しい冬にも緑を絶やさない生命力を、竹はすくすくと真っすぐに成長する姿を、梅は新年を迎えて真っ先に花を咲かせる様子から、「忍耐」や「長寿」「生命力」を意味する非常におめでたい柄とされています。

 

桜…春を代表する桜は、まさに季節を楽しむための柄で、着物の世界でもとても愛されています。写実的で枝付きの桜が描かれている着物は、桜が咲き始めるまで、桜の花びらが描かれた写実的な柄は桜の咲き始めから満開手前までの着用をおすすめします。これは、「どれほど素晴らしい桜の柄でも、本物の桜には勝てない」という意味があります。桜がいかに日本人の暮らしに寄り添っているかがよくわかりますね。

 

菊・・・菊の花は、9月9日の重陽の節句に供えられ、長寿を願い邪気を払う花とされてきました。そこから「延命長寿」「無病息災」などの意味を持つ吉祥柄とされています。

 

牡丹…華やかで豪華な牡丹の姿から「高貴さ」「幸福」などの願いが込められています。

 

葡萄・・・葡萄は、多くの実がなることから「子孫繁栄」の象徴とされています。写実的な葡萄の柄は秋に、デザイン化されたブドウの柄は1年中着用出来ます。

 

青海波(せいがいは)・・・半円をいくつも重ねたような柄の青海波は、穏やかな波がどこまでも続く様子を描いています。そこには「永遠に穏やかで安寧な暮らしが続くように」との願いが込められています。

 

雪輪・・・雪の結晶を様々な文様で表した雪輪は、雪が多き年には、水が豊かになり豊作になるということから「豊穣」「豊作」などの意味があります。雪輪はデザイン化されている柄ですので通年着用出来ます。

 

麻の葉・・・麻の葉は、とても成長が早くて丈夫な植物であることから、子供がすくすく育つようにという願いが込められており、産着や子供の着物、甚平などによく使われる柄です。

 

動物柄

着物に描かれる動物は、一般に縁起の良い生き物が多く、結婚式などのお祝い事によく使われています。

 

鶴や亀・・・“鶴は千年、亀は万年“と言われるように、「不老長寿」の象徴とされています。鶴はその美しい姿から「高貴」という意味もあり、花嫁衣装にも良く用いられる柄となっています。

 

おしどり・・・雌雄のおしどりが仲睦まじく泳ぐ様子は、まさに「おしどり夫婦」を表しており、こちらも花嫁衣装などに使われることが多い柄です。

 

鯉・・・鯉は急流をさかのぼり、登竜門を抜けて天まで昇って龍となるという中国の故事にちなみ、「立身出世」を表しています。端午の節句に飾るこいのぼりも同じ願いが込められたもので、七五三などのお祝いにおいて、男の子の着物に描かれていることが多いです。

 

古典柄

着物の柄の中でも特に伝統的な柄を総称して古典柄と呼んでいます。

 

毬・薬玉・・・華やかな色合いで可愛らしい毬を描いた着物は、女の子の成長祈願の思いが込められています。毬に魔除けの糸が下げられた薬玉には、無病息災の意味もあります。女の子のお宮参りや七五三の着物、成人式の着物などに使われることが多い柄です。

 

扇・檜扇・地紙・・・檜扇(ひおうぎ)とは宮中で使用された木製の華やかな扇、地紙(じがみ)とは扇の紙の部分です。どれも高貴な柄で、末広がりの形は縁起がよく「明るい未来が広がっている」という意味があります。

 

貝桶・貝合わせ・・・一枚貝はほかの貝とは決して合わないということから、夫婦円満の象徴とされています。宮廷貴族の女児の遊びであった貝合わせやそれを入れる道具である貝桶の柄が描かれた着物は、「夫婦円満」の願いがこめられひな祭りや花嫁衣装などにもよく使われます。

 

御所車・・・平安時代に貴族が乗っていた公家車を、華やかな花で彩った御所車は、「高貴」「富貴」などの意味を持っており、お祝い事によく使われる吉祥柄です。

 

幾何学模様

幾何学模様は、いわゆるデザイン画のような柄で、自然を図案化したものや三角形、四角形などを組み合わせた図柄などがあります。

 

市松模様・・・異なる色の正方形を交互に並べた市松模様は、奈良時代後半には使われおり、当時は「石畳文」と呼ばれていました。江戸時代になり、佐野川市松という歌舞伎役者が舞台で着用したことで大流行し、それ以後「市松模様」と呼ばれるようになりました。

 

亀甲柄・・・亀の甲羅を六角形の柄に図案化したもので、亀の柄と同様「不老長寿」の願いが込められています。

 

七宝柄(しっぽうがら)・・・同じ大きさの円を四分の一ずつ重ね合わせた柄で、円形がつながる様子から「円満」「子孫繁栄」「調和」などの意味があります。七宝とは仏教に伝わる七宝から来ているという説もあります。

 

まとめ

着物の柄は、今回紹介したもの以外にもまだ多くの種類があります。伝統的な着物の柄には、長年にわたって人々の思いが込められてきました。着物の柄の意味を理解すれば、また新しい着物の楽しみ方ができるのではないでしょうか。あなたが着物を選ぶとき、季節を楽しむときは、ぜひ今回の記事を参考にしてください。

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